特許事務所選びのポイントとして、場所は記載しませんでした。場所は考慮してもいいけれど、それ以上に大事なことが山ほどあるからです。以下では、特許事務所の場所を考慮すべきかどうか?という疑問に答える3つの視点を説明したいと思います。

jimusyo

1.特許事務所や弁理士の質によって大きく左右される

たとえば、土地の登記などであれば得られる結果は同じなので、あとはサービスがよく出張料もかからない近隣の司法書士さんに頼もう、ということになるものと思います。しかし、弁理士が取り扱う業務については弁理士の能力次第で取得できる権利の範囲が変わるなど大きな影響が出てきますし、また、普段縁のない世界のことなので、弁理士のサービス意識の高い・低いで満足度が大きく変わってくるものと思われます。

この世界では遠方からのお客様を抱えていることはザラですし、お客様の方としても、特に事業の拡大を考えていらっしゃる方は全国の弁理士・特許事務所の中からよい弁理士・事務所を選ぼうという方が多いようです。

2.全国的な弁理士の競争原理が働いている

1.とも関連しますが、お客様の方が全国の弁理士・特許事務所からいい事務所を選ぶので、特許事務所側としてもサービス意識の強いところはサービスの改善を常につづけ、それをアピールしています。ウェブサイトに力を入れて情報提供を行うなどはもちろんのこと、営業努力も欠かしません。

どうしても地方事務所は競争が乏しい面がありますので、よいサービスを受けようとする際には上記観点から広い視野で選ぶことが望まれます。

3.場所は、近いに越したことはない程度

顔を合わせての打ち合わせは必要だと思われますし、場所が近いに越したことはないでしょうが、そんなに頻繁に顔を合わせなければならないということではありませんし、場所が近くて質が低い事務所を選ぶよりは、多少遠くても質のいい事務所を選ぶ方がよいでしょう。特許事務所もサービス意識が強くなってきているので、遠方のお客様のもとへの出張もよくある話になってきています。

まとめ

以上のように、場所以上に大切なことがありすぎるので、私の意見としては場所だけで選ぶというのはこの業界には適さないかなと思います。ただ、地域に思い入れがある方が、その地域の弁理士さんに頼みたいというのは自然な流れですし、信頼に値する弁理士であればそれもいいことだと思います。


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弁理士 高橋 伸也
早稲田大学政治経済学部経済学科卒。外国商標やマドプロに強い商標専門のフルブルーム国際商標事務所所長。日本弁理士会の海外支援委員会・貿易円滑化対策委員会委員。業界紙やWEBメディアなどで寄稿多数。 自身の起業経験及び外国商標実務の経験から、ベンチャー・スタートアップ支援と海外進出支援に力を入れているほか、助成金の活用も積極提案している。