マドプロのメリットと、マドプロのデメリットについては以前ご説明しましたが、今回はマドプロに慣れていない弁理士に頼むとはまってしまう落とし穴を2つほどご紹介したいと思います。

1.中間対応で大出費

マドプロは一つの書類で世界のマドプロ加盟国へと出願できる大変便利な制度ですが、出願の後はそれぞれの国で審査に付され、拒絶理由を有している場合には拒絶理由通知への対応をしなくてはなりません。

拒絶理由通知への対応は各国の現地代理人にお願いすることになるのですが、そうなるといかに普段から外国の商標弁理士と付き合いがあるかが勝負になってきます。必要になったから安心できそうな大事務所に頼んでみた、となると、びっくりするような請求額になることも。特に、外国はタイムチャージが多いですし、顔を知っている弁理士仲間にはディスカウントする傾向にあるので商標弁理士がいる事務所といない事務所では対応力に差が出るでしょう。

2.登録後に必要になってくる手続きを失念

たとえば、米国では登録から5年経過後1年以内に使用宣誓書を提出する必要がありますが、マドプロ出願の場合米国の現地代理人が管理していないので、日本の代理人が期限管理することになります。すると、普段外国商標に慣れていない弁理士はうっかり失念してしまうことすら考えられそうです。さらに、中国の例でいえば、侵害対応の際に登録証が必要となりますが、政府から自動発行されるわけではないので、登録後に取得申請する必要がございます。この辺も外国商標に精通していない弁理士だとここまでの知識があるのか怪しいのではないかと思います。

まとめ

この他にも、さまざまな場面で経験が生きてくるのが外国商標であり、マドプロですので、大事務所や弊所のような商標専門事務所以外の、商標専業でない事務所に頼む場合は要注意であると思います。マドプロ出願(マドリッド・プロトコル出願)については、マドプロ出願に強い、商標登録専門のフルブルーム国際商標事務所にご相談ください。


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弁理士 高橋 伸也
早稲田大学政治経済学部経済学科卒。外国商標やマドプロに強い商標専門のフルブルーム国際商標事務所所長。日本弁理士会の海外支援委員会・貿易円滑化対策委員会委員。業界紙やWEBメディアなどで寄稿多数。 自身の起業経験及び外国商標実務の経験から、ベンチャー・スタートアップ支援と海外進出支援に力を入れているほか、助成金の活用も積極提案している。