フルブルーム国際商標事務所の基礎知識シリーズです。今回は、商標の国際登録出願制度であるマドプロ(マドリッド・プロトコル)のデメリットを三つのポイントに絞って解説いたします。
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1.基礎出願・登録との同一性が要求されます
マドプロの場合、基礎出願・基礎登録を指定しなければならないのですが、商標については基礎との厳格な同一性が、指定商品・役務については基礎の範囲内であることが要求されます。したがって、日本で英語と日本語の二段併記にて登録している場合などは、英語のみの商標を別途出願した上で、それを基礎としてマドプロ出願をするといった流れになるものと思います。指定商品・役務についても、日本の出願・登録でカバーしきれていない場合、当該部分について改めて出願する必要があります。
2.セントラルアタックの危険性
基礎出願の拒絶査定が確定したり、基礎登録が異議申立で取消、無効審判で無効などとされますと、セントラルアタックといって国際登録も取り消されてしまいます。この点、各国出願に移行する救済措置はあるのですが、出願も更新も移転も膨大な手間がかかってしまいます。したがって、たとえば出願を基礎とする場合、セントラルアタックのリスクが小さくなってから(登録査定が出てから)優先権主張等を使ってマドプロ出願して、セントラルアタックの可能性を低減するのがセオリーとなります。
3.各国の特殊事情に合わせるのは苦手
マドプロは画一管理が基本なので、各国の特殊事情がある場合にそれにフィットさせるのは苦手です。たとえば、米国の使用宣誓書については別途現地代理人に頼んで手続する必要がありますし、その期限管理は日本の代理人及び自社が意識していなければなりません。また、中国などの漢字圏、ロシアなどのキリル文字圏については世界共通の英語で出願するだけでは不十分ということもあり、別途各国出願する必要があるかもしれません。さらに、そもそもマドプロに加盟していない国には出せません。それには、台湾や香港、東南アジアの一部の国等の大事な国や地域が含まれています。
マドプロの基礎知識【デメリット編】のまとめ
デメリットも少なからずあるマドプロですが、これらのデメリットは、専門家のアドバイスを受けながら対応していくことでカバーできるデメリットであるとも言えます。海外進出をお考えの日本企業様の場合にはその基本にマドプロを置いて、必要な場合は各国出願でそれを補うという形がよろしいかと存じます。
もちろん、弊所にご相談いただければリーズナブルかつ安心・高品質なサービスでマドプロ出願を誠心誠意サポートいたします。
マドプロ出願(マドリッド・プロトコル出願)についてのご相談は、マドプロ出願に強い、商標登録専門のフルブルーム国際商標事務所へ

弁理士 高橋 伸也

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