フルブルーム国際商標事務所の基礎知識シリーズです。今回は、中国の商標制度の大枠や特徴的な部分を三つのポイントに絞って解説いたします。
photo credit: China Flag and Dome via photopin (license)
1.拒絶理由応答期間と一部拒絶制度
中国の場合、第三次改正法により審査官が必要と判断した場合には意見書を提出できるようになったものの、基本的には拒絶理由通知を経ずいきなり拒絶査定通知が来ます。それに対してTRABと呼ばれる審判部への不服申立は可能なのですが、審判請求は拒絶査定受領日から15日間ととても短く、現地代理人がコメントを付す時間等踏まえるとユーザーにとってはアンフレンドリーな制度と言えそうです。
とは言え、中国の場合は一部拒絶制度を採用しており、拒絶理由のない部分については登録されることになります(これに対し、日本は一部の指定商品・役務に拒絶理由が存在すれば全体が拒絶されます。)。
2.中国語対応
台湾同様、中国は漢字文化圏です。商標はそもそも商品を識別する標識であり、中国の消費者が目印として理解できるものでないと意味が半減してしまいますので、基本的には中国の方々にとって読みやすく、覚えやすい中国語に訳した商標を出願するのが第一だと考えます。もちろん、カタカナ、ひらがなや英語も出願可能で、日本で使用しているものは出願しておくのがベストですが、中国の消費者が読むことができない可能性があるので、私たちがなじみのない外国語を認識するときのように、意味のとれない一種の図形のような扱いとなり、権利範囲はどうしても狭くなってしまいます。
また、願書はすべて中国語であり、出願人名称として社名も記載しますが、ここもよい意味に取れるような良い中国語訳を使いたいところです。既に訳が決まっていれば問題ありませんが、そうでない場合は商標出願を機に社名・商品名共に良い意味が込められた中国語訳を用意するといいでしょう。
3.改正で良くなった一方、問題も
中国では2014年5月1日施行の大規模な改正があり、それまで一出願一区分制度だったのが一出願多区分制度に切り替わったり、審査期間の短縮、拒絶理由応答機会の設置など国際標準へのキャッチアップがだいぶ進んで印象があります。一方で、手続面で煩雑になって現地代理人側の実務も混乱していたりと問題も尽きません。信頼できる代理人を選ぶのが何よりのポイントになる国ということが言えそうです。
中国での商標登録のまとめ
上記3ポイントを踏まえますと、国際標準の方向に舵を切りつつあるものの、日本の実務と比べかなりの特殊性がありますので、経験のある現地代理人の選定が重要なポイントとなりそうです。価格が安いからという理由で安易に代理人を決めてしまうと、結局トラブルが多発して苦労を買うことになってしまう可能性があるので、信頼できる専門家を選ぶことが必要と考えられます。
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弁理士 高橋 伸也

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