フルブルーム国際商標事務所の基礎知識シリーズです。今回は、香港の商標制度の大枠や特徴的な部分を三つのポイントに絞って解説いたします。
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1.イギリスの影響が色濃く残る制度
皆さんご存知の通り、香港は1997年の返還までイギリスにより統治されていた関係で、中国商標法とは別の制度が運用されています。イギリスはコモンローの国ですので、香港商標「条例」がメインの法規となります。日本の商標と比べて骨格が大きく異なるということはないのですが、たとえば存続期間の起算日が出願日であり、出願日から10年で存続期間が満了する点などはイギリスと同様で、日本とは異なります(日本は登録日から10年)。
2.連続商標や色彩クレームなど、特徴的な制度が多数あります
香港には日本の商標法にはない特殊な制度がいくつか存在します。
そのうちの一つが連続商標制度で、本質的部分が互いに類似しており、商標の同一性に実質的な影響を及ぼさない識別性のない部分のみが相違している商標(4つまで)です。たとえば、簡体字と繁体字の差違がある二つの商標を登録しておくといったことが考えられます。
もう一つ紹介します。色彩クレームは、ある色彩がその商標を特徴づけているような場合に主張するもので、ある特定の色彩での保護を求める場合に利用します。たとえば、トリコロールのように単純な図形の組み合わせで、その色彩があるからこそ識別標識として機能するような場合に有用です。
その他権利不要求やコンセント(同意書)などの制度もあり、拒絶理由対応についても現地代理人アドバイスが重要となってきます。
3.マドプロ(商標の国際登録出願制度)が使えません
日本企業としては最も注意しなければならないところかもしれませんが、香港ではマドプロが使えません。したがって、日本の特許事務所経由で香港の現地代理人に依頼して権利取得する通常のルートを採ることになります。なお、日本出願を基礎とした優先権主張は可能です。
香港での商標登録のまとめ
上記3ポイントを踏まえますと、香港の商標については期限管理なんかも注意が必要ですし、日本と異なる制度が多々あるので現地代理人、日本の弁理士などを含めた専門家のサポートの下で出願・管理する必要性が高い国ということが言えるでしょう。もちろん、弊所にご相談いただければ信頼できる現地代理人を通した安心・高品質なサービスで香港での商標登録を誠心誠意サポートいたします。
香港の商標登録出願についてのご相談は、海外商標登録やマドプロに強い、商標登録専門事務所へお気軽にご相談ください。

弁理士 高橋 伸也

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