フルブルーム国際商標事務所の基礎知識シリーズです。今回は、ベトナムの商標制度の大枠や特徴的な部分を三つのポイントに絞って解説いたします。
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1.異議申立期間が長い
通常、異議申立の期間は登録前の場合でも登録後の場合でも公告から2~3か月というところが多いのですが、ベトナムの場合は出願公開日から登録査定が出るまでの間という長きにわたり異議申立が可能となっています。まあ、諸外国においても情報提供制度という形で審査中の異議申立類似の制度はあるので、それがすべて異議に一本化されたイメージでしょうか。
2.マドプロと直接出願で拒絶の取り扱いが異なる
ベトナムの場合、マドプロ経由の出願と直接出願の場合で拒絶の取り扱いが異なる点が特徴的です。直接出願の場合、オフィスアクションに対して応答機会が確保されており、その段階で認められなければさらに審判段階へ移行することができます。一方、マドプロの場合、オフィスアクションに対する応答機会はなく、審判段階へ移行できるのみです。
その代わりに、マドプロにおいては部分拒絶制度が導入されており、拒絶理由を有してない指定商品・役務については登録が認められることとなります。
3.日本語は識別力なしと取り扱われます
ベトナムにおいては、ベトナム語のほか、ラテン文字を使用する言語は問題ないものの、日本語をはじめとした漢字、ハングル文字、キリル文字等は識別力がないものとして取り扱われてしまいます。(他国では図形として取り扱われるだけで識別力自体は認められることが多いです)したがって、英語等で出願するか、ラテン文字や図形と組み合わせて登録するといったテクニックを使って登録することになりますが、その場合でも日本語部分単独で権利が生じるわけではない点に注意する必要があります。
ベトナムでの商標登録のまとめ
上記3ポイントを踏まえますと、特に3.をはじめとして商標戦略上注意する必要がある点があるというだけでなく、事業戦略に影響が出てくるような運用がなされているということもありますので、安易にマドプロで出して安心という考え方もできません。使用や権利行使にあたっても信頼できる現地代理人の確保が非常に重要になると言えます。
もちろん、弊所にご相談いただければマドプロ経由でも直接出願でも安心・高品質なサービスでベトナムでの商標登録を誠心誠意サポートいたします。
ベトナムの商標登録出願についてのご相談は、外国商標登録やマドプロに強い、商標登録専門事務所へ
弁理士 高橋 伸也
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