フルブルーム国際商標事務所の基礎知識シリーズです。今回は、ロシアの商標制度の大枠や特徴的な部分を三つのポイントに絞って解説いたします。
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1.キリル文字について
ロシアの消費者にとっては日本語は当然読むことができませんので、ロシアで商標登録出願する場合にはラテン文字かキリル文字で出願するのが第一歩になります。ただし、ラテン文字による称呼(音)の類似範囲とキリル文字による称呼の類似範囲では当然異なってきますので、他社の類似範囲での使用を排除したいのであれば両方登録するのが好ましいです。
その意味では、マドプロでは世界共通のラテン文字を出願し、直接出願でキリル文字を出願するというのがよいのではないでしょうか。
2.会社名や商号も別途保護される
特徴的な制度としては、商標とは別に商号や取引名称も保護されるという点が挙げられます。商号は共通ロシア法人登記簿に登録され、同簿に登録済みの商号と同一類似のものは登録できません。また、取引名称はそれが識別力を有し、ある特定の地域で知られている場合に保護対象となります。
こうした商号や取引名称は商標の審査段階でも考慮され、既存の商号や取引名称と同一類似であり、商品・役務関係も同一・類似関係にある場合には抵触する指定商品・役務については登録を受けることができません。したがって、調査段階で商号・取引名称も調査する必要があるということです。
3.制度全体としては、標準的
その他については、異議申立がなく無効審判があるのみであること、不使用取消の要件で少々差違がある点など細かな違いはあるものの、おおむね日本商標制度と同じような制度設計になっているものと思われます。最初の通知までの期間も1年程度とひどく遅くはないです。ただ、文字の壁があり調査から手続まで現地代理人に頼らざるを得ない部分が多いと言えます。
ロシアでの商標登録のまとめ
上記3ポイントを踏まえますと、制度としては標準的であるものの、文字が異なる点で壁が大きく、信頼できる現地代理人の選定が重要なポイントとなりそうです。日本にとってなじみのある国ではなく、商業的な交流もアジア諸国や米国等に比べると少ないので、余計に国際的に信頼を確立している代理人選びが必要です。
もちろん、弊所にご相談いただければマドプロ経由でも直接出願でも安心・高品質なサービスでロシアでの商標登録を誠心誠意サポートいたします。
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弁理士 高橋 伸也

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