日本の商標関係料金はだいたいの予測がつくのでまだいいのですが(商標出願・登録にかかる費用の気になる相場)、外国出願は現地代理人費用が国によって大きく異なるというのもありますし、また、その不透明さに乗じて高めの料金を取る日本の事務所も少なくないので、気をつけなければならない分野です。

ここでは、特許事務所の選び方に記載した内容を前提として、外国商標出願・登録にかかる費用のチェックポイントを4つのポイントに分けてお伝えしたいと思います。

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photo credit: Image taken from page 9 of ‘The Earth and its Inhabitants. The European section of the Universal Geography by E. Reclus. Edited by E. G. Ravenstein. Illustrated by … engravings and maps’ via photopin (license)

1.調査費用

外国商標出願の場合には調査はかなり強くお勧めします。なぜなら、国によっては権利化まで2年や3年かかる場合もあるので、出願して審査を受けてとやってみたものの結局は拒絶されましたということになると市場進出が相当遅れてしまうためです。現地代理人費用として1区分あたり3万円~5万円、日本弁理士の手数料(翻訳や説明)として3万円くらいが相場でしょうか。区分が増えると通常金額も上がりますが、1区分当たりの金額は抑えられるのが通常です。

2.出願費用

出願の場合、各国に支払う印紙代は国によってさまざまです。問題なのが現地代理人の手数料で、国によってさまざまです。競争の激しい先進国では日本と同等かそれ以下というのも多いのですが、競争が少ない発展途上国では世界を股にかける大事務所に頼むか現地の代表的な事務所に頼むかになるので、どちらにしろ高額になりがちです。

一方、日本の事務所手数料としては、1商標1区分あたり5万円~10万円というのが相場でしょう。さらに、追加1区分2万円くらいのイメージでしょうか。

3.中間費用

外国特許庁から拒絶理由通知が出された場合に、それに対応するためにかかる費用です。特許庁費用は通常かかりませんが、現地代理人の費用+日本弁理士の事務所手数料がかかるのが通常です。

現地代理人費用は、特に欧米系の場合、タイムチャージということで事前の予想がつきにくい場合が多いです。フラットレートで対応してくれる事務所もありますが、仕事の質まで考えたときにどちらがよりよいのかは難しい問題です。やはり、人柄を信用できるいい代理人を選ぶことが重要になります。

日本の弁理士の事務所手数料の相場としては、内容の難しさに応じて20,000円~100,000円くらいです。現地代理人の仕事内容をチェックして不備があれば指摘する役割や、報告の際に翻訳する役割、代金の建て替えなど、さまざまなサービスが含まれた料金となっております。

4.登録費用

登録費用がかかる国とかからない国が存在しますが、かかる場合には、やはり現地代理人の登録料納付手数料が請求されます。さらに、登録証の送付、10年間の期限管理、公告にかかる費用などもろもろの費用があるので、それらが分割だったり一括だったりで請求されます。

日本の事務所手数料の相場としては、案件管理費用などの名目で1か国につき2万円~3万円程度請求するところが多いように思います。また、現地代理人の請求があると、その都度手数料をとっていく事務所も存在します。弊所としては、できるだけ事前に見積額をお知らせした上でサービスをご提供し、透明性を確保した上でサービスを提供していきたいと思います。

まとめ

以上、私が開業時に競合調査をして得たデータをもとに記載してみました。外国商標の場合は現地代理人の費用がネックになってくるので、事前にきちんとした見積もりを得ておくことが重要です。結論としては、日本出願の場合の特許事務所の選び方と同様、費用はあくまで一要素として考えるがよいでしょう。つまり、専門性・リーズナブルさで絞って、最後は人柄で選ぶというのが後悔しない選び方だと思います。


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弁理士 高橋 伸也
早稲田大学政治経済学部経済学科卒。外国商標やマドプロに強い商標専門のフルブルーム国際商標事務所所長。日本弁理士会の海外支援委員会・貿易円滑化対策委員会委員。業界紙やWEBメディアなどで寄稿多数。 自身の起業経験及び外国商標実務の経験から、ベンチャー・スタートアップ支援と海外進出支援に力を入れているほか、助成金の活用も積極提案している。