フルブルーム国際商標事務所の基礎知識シリーズです。今回は、マレーシアの商標制度の大枠や特徴的な部分を三つのポイントに絞って解説いたします。
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1.先使用主義の国です
マレーシアはイギリス連邦の一員ということで、コモンローに基づく法制度が採用されており、商標に関してもマレーシアにおける最先の使用にもとづき優先するか否かが判断されます。とは言え、登録により後願に対する先行権の推定や、有効性の推定を受けることができ、さらに登録から7年経過することにより有効性はさらに確固たるものとなるので、商標登録の必要性が高いと考えられます。
2.登録までに時間がかかります&早期審査等
マレーシアは現段階でマドプロには加盟しておらず、審査期間もスムーズにいっても1年以上、拒絶対応など入ると2~3年かかるケースも少なくありません。
一方で、予備的助言制度という制度があり、識別性についてあらかじめ審査官の見解を得ることができます。これは2月程度で結果が得られるので、長期の審査の末に拒絶というリスクを低減することができます。さらに、早期審査制度も導入されており、これを利用した場合は7か月程度で登録できるケースもあるようです。制度を知り、うまく使いこなすことがキーポイントになりそうです。
3.一出願一区分制度や指定商品・役務にも注意です
マレーシアにおいてマレーシア語・英語以外の言語を商標として出願する場合、その翻訳の提出が必要です。
また、一出願一区分制度を採用しているため、多区分にわたる出願は複数の出願に小分けする必要があります。さらに、指定商品・役務表示についても広すぎたり曖昧だったりする表示は他の国以上に厳しく見られますので、ここも現地代理人の適切なアドバイスに基づいて出願する必要があります。
マレーシアでの商標登録のまとめ
上記3ポイントを踏まえますと、マドプロ加盟も準備中ということで、日本に近い国でありながら商標制度の活用は日本企業にとって難しい国の一つではないでしょうか。とは言え、制度を十分に理解した上で出願すればスムーズに権利取得が可能であることも事実であり、適切な現地代理人の選任が重要なファクターになります。
もちろん、弊所にご相談いただければ安心・高品質なサービスでマレーシアでの商標登録を誠心誠意サポートいたします。
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弁理士 高橋 伸也

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