前回は称呼は商標の類似・非類似を判断する重要な要素であるというのを確認しましたが、今回は残る外観・観念について類似・非類似の判断ポイントの一部をご紹介したいと思います。
1.外観は、かなり似ていない限りは非類似
外観に関しては、かなり似ていない限りは非類似と考えていいのではないでしょうか。類似とされたのが以下の例です。(無効2007-890176)
これは、KANGOLが有名商標だったということもあるとは思いますが、構成が同じようなカンガルーのシルエットということで類似とされました。
一方で、以下の例は非類似とされています。(不服2007-25312)
登録はしやすいけど、いざ侵害問題が出てきた際には図形商標の類似範囲は広くないなという印象です。
2.観念は同一である必要
観念は、その言葉や図形の持つ意味のことですが、類似では足りず同一の場合にはじめて商標全体として類似であると判断されます。典型的なのが、アップルとリンゴのように英語と日本語の場合、そして、リンゴの図形と文字商標のリンゴのように図形と言葉の場合でしょう。
見落としがちなのが、「オレンジ&アップル」と「アップル&オレンジ」などのように単語の順番が逆になっている商標の存在です。これは称呼は異なるし外観も異なりますが、語の順番が違うだけで観念は同一なので類似となるケースです。
まとめ
このように、図形や観念が類似なので全体として類似というのはパターンとしては少なく、称呼に比べると重要性は劣りますが、だからこそ見落とすことができないポイントであると思います。
弊所は商標専門の特許事務所であり、お見積もり・初回ご相談無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
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弁理士 高橋 伸也
所長弁理士 : フルブルーム国際商標事務所
早稲田大学政治経済学部経済学科卒。外国商標やマドプロに強い商標専門のフルブルーム国際商標事務所所長。日本弁理士会の海外支援委員会・貿易円滑化対策委員会委員。業界紙やWEBメディアなどで寄稿多数。
自身の起業経験及び外国商標実務の経験から、ベンチャー・スタートアップ支援と海外進出支援に力を入れているほか、助成金の活用も積極提案している。

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