マドプロ出願に関しては料金表を掲げていないところも多いですし、そもそも得意としている事務所が少ないです。また、明朗価格に見せていても実は…ということもあるので注意して判断しなければならないポイントです。特許事務所の選び方に記載した内容を前提として、マドプロ出願にかかる費用のチェックポイントを4つのポイントに分けてお伝えしたいと思います。
1.調査費用
調査は、必要とする場合には各国ごとに行います。調査するかしないかはその商標の重要度によりまして、ある国でその商標を絶対に使いたいということであればすべきですし、調査経費節約優先、いざとなれば国ごとに使用商標を変更可能ということであれば省略も可能であると考えられます。各国の現地代理人に依頼することになるので、調査を必要とする場合は費用がかなり掛かってくることとなります。料金は国によってピンキリですが、現地代理人費用3万円~5万円に日本弁理士の手数料3万円くらいが平均でしょうか。
2.出願費用
出願の場合、WIPOに支払う費用が発生しますが、基本手数料653スイスフラン(約87,000円、CHF1=JPY133換算)のほかに、区分数と指定国数に応じて追加の手数料がかかります。直接出願した場合の印紙代とさほど変わらないように計算されています。
一方、事務所手数料としては、基本料金が6万円~10万円で、1区分あたり2万円、1指定国あたり2万円をプラスしていくところが多いでしょうか。結果的に、1区分1指定国の場合、10万円から14万円といったところが相場でしょう。(4.で述べる案件管理料を見積もりに載せてこない事務所もあるので注意が必要です。)
3.中間費用
こちらは、各国の特許庁から拒絶理由通知が来た場合に反論などの形で対応する費用です。特許庁費用はかかりませんが、現地代理人に対応を依頼することとなりますので、現地代理人費用+日本弁理士の事務所手数料がかかるのが通常です。
現地代理人費用に相場はないのですが、タイムチャージなどでどかっと請求されたり、フラットレートで対応してくれたりと本当にさまざまです。いい代理人選び、そして、いい代理人とのコネクションを持っている日本弁理士を選ぶのが重要になってきます。
日本弁理士の事務所手数料の相場としては、やはり内容の難しさに応じて20,000円~100,000円といったところでしょうか。現地代理人の見解が必ずしも信用できるかわからない部分があるので、日本側でもチェックするということ、そして、翻訳して報告するなどの労力が含まれた金額となっております。
4.登録費用
マドプロで特徴的なのが、登録段階でWIPOに支払う費用はないということです。(例外的に各国特許庁に支払うケースがありますが、本当に稀です。)
事務所手数料の相場としては、案件管理費用などの名目で1か国につき2万円~3万円程度請求するところが多いように思います。
ちなみに、弊所の場合は案件管理費用はとっておりませんので、トータルで見た場合には他所よりも圧倒的にお安くなるかと存じます。
まとめ
以上、私が開業時に競合調査をして得たデータをもとに記載してみました。マドプロの場合は中間の費用がかなりの割合を占めることになるので、そこを頭に入れておかないと予算オーバーとなってしまいます。あとは、日本出願の場合の特許事務所の選び方と同様、やはり専門性・リーズナブルさで絞って、最後は人柄で選ぶというのが後悔しない選び方であるように思います。
弁理士 高橋 伸也
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