MicrosoftがSkyDriveというサービス名称を商標上の問題から変更せざるをえなかったという衝撃的なニュースがありましたが、今回は、マイクロソフトが大金を支払って買収した超有名ブランド、Skypeも同様の危機にさらされているという問題です。

“Skype”の名前は変えるべきか?――欧州で再び商標争い

マイクロソフトの“Skype”は、商標として認められない――。そんな判決が欧州の裁判所によって下されたとの報道が話題になっています。

最近ではSkyDriveの名前をOneDriveに改名せざるを得なかったマイクロソフトが、再びSkyグループに屈することになるのか。そして同社は、今後もSkypeという名前を使い続けることができるのでしょうか。

Skyグループは放送事業者としてこれもまた超有名なので、SkyDriveの件は理解できるのですが、Skypeも全世界でかなりの知名度を有しているということもあり、また、SkyDriveのようにSky+一般名称というネーミングでもないので、果たしてSkyグループと誤認混同が起きるかというとやや疑問です。欧州だから米国の会社には厳しいなんていう憶測も飛び交っていますが、ここから何を学べるか考えてみたいと思います。

マイクロソフトの騒動から学べる教訓

一つには、海外展開の際の商標調査の重要性です。商標は各国ごとに登録されることになるので、日本で○○○という商標が登録できたとしても、それが中国や米国で登録できるという保証にはなりません。したがって、海外展開を考えている場合には、事前の商標調査が重要ということになります。

一方で、商標調査は基本的に各国の現地代理人によってなされるので、少なからず費用がかかるのも事実。したがって、商標の重要性に応じて、絶対に世界統一ブランドで行きたい超重要商標は調査を綿密に行った上で出願すること、そして、サービスが成功するか不明な重要度の低い商標はいざとなればネーミングを変更するリスクもとった上で調査はしないというような臨機応変な経営判断が必要となってきます。

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弁理士 高橋 伸也
早稲田大学政治経済学部経済学科卒。外国商標やマドプロに強い商標専門のフルブルーム国際商標事務所所長。日本弁理士会の海外支援委員会・貿易円滑化対策委員会委員。業界紙やWEBメディアなどで寄稿多数。 自身の起業経験及び外国商標実務の経験から、ベンチャー・スタートアップ支援と海外進出支援に力を入れているほか、助成金の活用も積極提案している。