平成26年度の商標法改正に伴い、音の商標、色の商標、動きの商標、位置商標、ホログラム商標が登録可能となりました。よし、うちの会社も登録を検討しよう!という流れになった会社さんも少なくないとは思いますが、実はこの新商標登録には高いハードルがあります。

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photo credit: Visa Dove Hologram via photopin (license)

1.基本的には有名になっていないと登録されない

色の商標がいちばんわかりやすいと思いますが、これまで色のみの商標の登録が認められてこなかったのも理由があります。それは、色は一定の幅の中で誰でも自由に使えるものですから自社と他社の区別をつける目印としては適さないこと、そして、むやみに特定の企業の独占を認めてしまうと色の選択を阻害して支障をきたすということです。

しかし、実際にはこの商品にこの色といえば○○、といったように商標として機能している場合もあるので、そのような実績が認められる場合には登録を認めましょうとしたのが今回の改正法なんです。したがって、色と商品との関連が密接で、それが消費者に知れ渡っているようなケースでなければ登録は難しいものと思われます。

2.ただし、他社の登録の侵害にはならないように注意

ただし、逆に言えば長年の間宣伝広告してきたような有名企業の場合には色と商品との関係が密接になっており、消費者にも知れ渡っているので登録が可能となり、他社の使用にストップをかけることができるようになります。したがって、有名企業のカラーを採用してその信用にただ乗りしようなどということで有名企業と同一のカラーリングを使ってしまうと、商標権侵害になりかねませんので注意が必要です。

なお、従前から登録になった色と同じカラーリングを使用している場合には継続的使用権という形でそれまで使っていた業務範囲内での使用は認められることになりますが、それだって証明作業に労力をつかいますし、業務拡大ができないというのは企業として好ましいことではないので、ここも注意が必要です。

まとめ

中小企業やベンチャーにとって、新商標登録までの道のりは長いものになりそうですが、一気に人気に火がついて著名となることもあるので、その場合には登録を考えることも必要です。さらに、当然大手の有名企業は権利取得を目指して動いているので、同じ業界における大手企業の動向は注視しておくのがよさそうです。

商標登録専門の弊所では、中小企業・ベンチャーの商標の困りごと・出願に親身に対応いたします。お気軽にお問い合わせください。


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弁理士 高橋 伸也
早稲田大学政治経済学部経済学科卒。外国商標やマドプロに強い商標専門のフルブルーム国際商標事務所所長。日本弁理士会の海外支援委員会・貿易円滑化対策委員会委員。業界紙やWEBメディアなどで寄稿多数。 自身の起業経験及び外国商標実務の経験から、ベンチャー・スタートアップ支援と海外進出支援に力を入れているほか、助成金の活用も積極提案している。