フルブルーム国際商標事務所の専門情報、今回は指定商品・役務を考えるときに参考になる類似商品・役務審査基準のお話です。

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類似商品・役務審査基準とは、特許庁が類似であると推定する指定商品・役務をグループ分けし、類似群コードと呼ばれるコードを付して、審査の際の統一的基準として用いているものです。

類似商品・役務審査基準〔国際分類第10-2015版対応〕

たとえば、下の表にある第33類を見てみますと同じお酒でも「日本酒」(28A01)と「洋酒」(28A02)は異なる類似群コードが付されてます。これは、もちろん例外はあるものの一般に日本酒と洋酒(たとえば、ウイスキー等)は生産者が異なりますし、その嗜好により需要者も異なる点を考慮したものです。

商品 類似群コード
 日本酒  28A01
 洋酒 果実酒 酎ハイ  28A02
 中国酒  28A03
 薬味酒  28A04

審査において、日本酒に「ABC」という商標を付した業者Xと洋酒に「ABC」という商標を付した業者Yは区別できると推定され、別個に登録可能です。一方、洋酒と同じ類似群コードの「ぶどう酒」にまた別の業者Zが「ABC」という商標を付して販売すると、業者Yのウイスキー「ABC」と混同が生じるという考え方になります。

近年ではお酒の総合メーカーも増えてきて、上述のような基準だと混同のおそれがあったりもします。そこで、実務上は、お酒の類似群は28A01~28A04まで全部抑えて混同を未然に抑止するといったことが行われてます。

類似商品役務審査基準はニース国際分類という国際的な分類に従って作成されているのですが、それが毎年改訂されているので、類似商品・役務審査基準も毎年改訂されることとなっています。したがって、出願時には最新のものを使用するようにする必要がありますのでご注意ください。


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弁理士 高橋 伸也
早稲田大学政治経済学部経済学科卒。外国商標やマドプロに強い商標専門のフルブルーム国際商標事務所所長。日本弁理士会の海外支援委員会・貿易円滑化対策委員会委員。業界紙やWEBメディアなどで寄稿多数。 自身の起業経験及び外国商標実務の経験から、ベンチャー・スタートアップ支援と海外進出支援に力を入れているほか、助成金の活用も積極提案している。